『ヌアージュ+1』/
ダイアン・ハブカ Nuages +1/Diane Hubka

フランク・シナトラ Frank Sinatra SSJ Presents CD

sinatra society of japan

Frank Sinatra フランク・シナトラ

スタンダード・ヴォーカル、ジャズ・ヴォーカルのトップ・スター=フランク・ シナトラ。
シナトラ・ソサエティ・オブ・ジャパン(Sinatra Society of Japan)は、 1981年12月13日、
シナトラの67歳の誕生日の前日、 つまりアメリカ時間で当日に、 熱心なシナトラ・ファン4人によって設立されました。

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sinatra society of japan

『ヌアージュ+1』/
ダイアン・ハブカ
Nuages +1/
Diane Hubka
特別価格
 (XQAM-1025)
Diane Hubka
2001/02/07年/
ニューヨーク&ロサンゼルス
日本初リリース
ボーナス・トラック1曲追加
>>購入する  

  ジョージ・ベンソンが「挑戦する精神を持った女性」と讃えた、 米国ジャズ・シンガー=ダイアン・ハブカによる本邦第2弾が登場! 自らも7弦ギターの名手であるダイアンが、バッキー・ピザレリを始めとするギターの巨匠や名手8人を ゲストに迎えてクールで知的なヴォーカルを聴かせる来日記念盤。ボーナス・トラックを追録。
 


1. Love/ラヴ  >>試聴
2. Blue Moon/ブルー・ムーン  >>試聴
3.Winter Moon/ウィンター・ムーン  >>試聴
4. Suddenly/サドンリー  >>試聴
5. Nuages/ヌアージュ(雲)  >>試聴
6. Nothing like You/ナッシング・ライク・ユー  >>試聴
7. Inside a Silent Tear/インサイド・ア・サイレント・ティアー  >>試聴
8. You Inspire Me/ユー・インパイア・ミー  >>試聴
9. The Old New Waltz/ジ・オールド・ニュー・ワルツ  >>試聴
10. Moment to Moment/モーメント・トゥ・モーメント  >>試聴
11. Sunday in New York/ニューヨークの休日  >>試聴
12. Romance/ロマンス  >>試聴
13. Wave/ウェイヴ  >>試聴
14. Waltz for Debby/ワルツ・フォー・デビー  >>試聴

 

「恩師に捧げたダイアン・ハブカの想い

 日本でも人気急上昇中の女性ヴォーカリスト、ダイアン・ハブカが8人のギタリストと共演したcool but passionateなアルバムである。というのもこれは彼女の恩師であり、当アルバム録音に前後して亡くなったビル・ビットナー(1926〜2001)に捧げられているからだ。ダイアンによればビットナーはギターを教える傍ら、ナット・キング・コール・トリオやカーメン・マクレエ、エラ・フィッツジェラルドなどのレコードを通じて、彼女にジャズとブルースの素晴らしさを教えてくれたという。またビットナーのギター・プレイは若かったダイアンに生涯忘れえぬ感動を残してくれた。
自身も7弦ギターの名手であるダイアンは、こうした生い立ちからジャズ・ギターに格別の思いいれがあるのだろう。彼女の熱意に現在のジャズ界で考え得る最高のギタリストが参加し「大胆な精神」(ダイアンと本作に対するジョージ・ベンソンの献辞)に満ちた作品が出来上がった。

「ダイアン・ハブカの多彩な魅力」

 一聴して平明でありながら、なかなか奥行きがふかいのがダイアン・ハブカの歌の特徴である。明るく親しみやすい女性とみえて、実はその奥に妖しくも神秘的で近寄りがたい内面がかくされているような魅力と言えばいいのか。イノセンスとコケットリーの共存は女性にとって天然自然のものかもしれないが、歌にそれを滲ませる術をもっているシンガーは決して多くはない。ダイアン・ハブカが相矛盾する要素を包括してなお魅力的なのは、詞曲の設定する状況を理解したうえで、それに自分の知性と感性と生き方を反映できる天賦の才をもっているからだ。このアルバムではこうしたダイアンの多彩さが8人の個性の異なるギタリストとの共演によって一層鮮明に浮かび上がってくる。

Diane Hubka With The Eight Guitarists

 さて、このアルバムはギター+べース+ドラムスという(基本)編成で歌ったもので、曲ごとに8人のギタリストが入れ替わる。ダイアン自身がギタリストでもあり通常のクラブ出演などでは弾き歌いが多いので、管楽器やピアノが入った初の国内リリース盤『Diane Hubka Goes To The The Movies/ザ・ルック・オブ・ラヴ』(SSJ XQAM-1504)より素顔に近い歌といえるだろう。

●ダイアン・ハブカ
 ハブカというスラヴ系の姓からも分かるようにチェコからの移民の子孫。ニューヨーク州に生まれメリーランド州で育つ。大学時代に前記のビル・ビットナーに出会いジャズの手ほどきをうける。ワシントンDCとニューヨークでプロ活動をしてきたが、2003年からはロサンジェルスに拠点を移した。当アルバムは彼女の3枚目のCDだが、日本では4枚目にあたる前述の『ザ・ルック・オブ・ラヴ』(2007年4月SSJレーベルより発売)がデビュー作となりヴォーカル・ファンの間で人気が沸騰した。
●ジーン・バートンシーニ(CH)
 ニューヨーク出身のナイロン弦クラシック・ギターの名手。音楽的な環境に恵まれた家庭に育ち7歳のときに初めてギターを手にしたという。クラシック、ジャズ、ボサノヴァ、ポップスなどジャンルを越えたキャリアの持ち主。メトロポリタン歌劇場管弦楽団、ベニー・グッドマン、トニー・ベネットからバート・バカラックなどと共演してきた。
●ポール・ボーレンバック(GI)
 イリノイ生まれ、ニューヨーク育ち。科学者で音楽好きの父親からギターを与えられたのが7歳のときのこと。11歳のときにインドのニューデリーに転居。思春期におけるアジアの音楽体験はその後の音楽観に大きな影響を残したという。ニューヨークにもどってからはロックバンドで演奏したが、マイルス・デイヴィスを聴くに及んでジャズに転向した。
●ジョン・ハート(BE)
 ジム・ホールを思わせるジョンの静的な音楽センスがダイアン・ハブカに寄り添う部分はこのアルバムの聴き所の一つといえるだろう。ダイアンとは彼女の過去2枚のCDでも共演しており、アレンジも担当した。演奏はしていないが当アルバムGはジョンのアレンジである。
●ホメーロ・ルバンボ(@FL)
 ブラジルのジャズ・グループ、トリオ・ダ・パのリーダーで、ダイアンとのセッションにはこのトリオを率いて参加し、ブラジリアン・テイスト溢れる3曲を残した。ホメーロは1955年リオ・デ・ジャネイロ生まれ。少年時代にクラシック・ピアノと音楽理論を学び、ギターは13歳から。ヴィラ・ロボス音楽院をトップの成績で卒業したクラシック・ギタリストでもある。
●バッキー・ピザレリ(ADJ)
 バッキーは言わずと知れたジョン・ピザレリの父君であり、老練のギタリストとしてジャズ界の信頼を集める存在。1926年生まれで17歳からプロ活動を開始し60年のキャリアを誇る。
●フランク・ヴィニョーラ(ADJ)
 ニューヨーク州ロング・アイランド出身。5歳からギターを手にし、ジャンルに拘らない活動をしている。ジャズ、R&Bからチェット・アトキンス、エリック・クラプトンまでが守備範囲。ジャンゴ・ラインハルトの研究もしており、その成果はDでバッキーとともにジャンゴの「ホット・クラブ・オブ・フランス」を彷彿とさせるギター・アンサンブルで聴かせてくれる。
●ジャック・ウィルキンズ(K)
 ニューヨーク、ブルックリン出身。10歳からギターを習い、ジャンゴ・ラインハルト、チャーリー・クリスチャン、ウェス・モンゴメリー、ジョー・パスがアイドルだった。多くのジャズメンと共演するほか、歌手とはサラ・ヴォーン、チェット・ベイカー、メル・トーメ等との共演で伴奏の腕を磨いてきた。ダイアンと共演したKは自作曲。
●ハワード・アルデン(M)
 カリフォルニア出身。10歳からギターを始めカウント・ベイシーやベニー・グッドマンを聴きながら成長する。ギター奏法ではバーニー・ケッセル、チャーリー・クリスチャンから影響をうけた。就中7弦ギターの巨匠ジョージ・ヴァン・エプスの影響は強く1992年以降は専ら7弦を用いている。Mは当アルバム日本発売のため2007年9月に新たに録音された。

 



【 曲目 】

@ラヴ
 ラルフ・ブレーンとヒュー・マーティンが映画『ジーグフェルド・フォリーズ』(1946)のために書き、リナ・ホーンが歌った。恋の百態に対する女性の期待と不安を、ダイアンは抑えた表現で描ききる。

Aブルー・ムーン
 ロレンツ・ハート作詞、リチャード・ロジャース作曲の1934年の作品。ダイアンが恩師ビル・ビットナーの伴奏でメリーランド州のクラブに出演し、初めてジャズを歌ったときの選曲がこれ。その思い出のクラブの名前はブルー・ムーン・サルーンだったとか。

Bウィンター・ムーン
 アート・ペッパーも演奏している(ギャラクシー)、ホーギー・カーマイケル1957年の作品。作詞はハロルド・アダムソン。ひたひたと迫る悲しみに耐える女心を丁寧に歌っていくダイアンが見事。どんな歌も決して手放しにしないところが彼女の魅力である。

Cサドンリー
 ノーマン・ギンベル(作詞)とエウミール・デオダート(作曲)の作品。ジーン・バートンシーニのギターのみの伴奏で歌う。冒頭フリー・リズムでヴォーカルとギターが情趣を設定、イン・テンポしたあともスキャットをまじえながら、ギターと自由に交感するあたりがダイアンの音楽的素養の深さだろう。

Dヌアージュ(雲)
 ジャンゴ・ラインハルトの作品にダイアンの知人であるドクター・フランク・フォートという人物が詞をつけた。彼女がバッキー・ピザレリから聞いた話によれば、フランス語で「雲」を意味する命名の由来はジャンゴが恋人と駅で別れる際、汽車から雲のような蒸気があがったところから思いついたものだという。フォートによる新しい詞とバッキーのイントロもこの挿話にヒントを得ている。2004年にはトニー・ベネットが自ら歌詞を書いて「オール・フォー・ユー」として発表した(ソニー)。

Eナッシング・ライク・ユー
 ピアニスト、シンガーそして作曲家でもあるボブ・ドローの作品。作詞はフラン・ランズマン。マイルス・デイヴィスが伴奏にまわったドローのコロンビア盤もあった(アルバム『ソーサラー』収録)。いかにもドローらしいモダンで洒落っ気のある曲を快調にとばすダイアンだが、曲を投げないところがこの人らしい。

Fインサイド・ア・サイレント・ティアー
 シンガーのブロッサム・ディアリーとアルバート・キングの作品。ディアリーのフィリップス盤やカーメン・マクレエのグルーヴ・マーチャント盤などがある。ホメーロ・ルバンボのトリオとの共演でチャーミングなボサノヴァに仕上がっている。

Gユー・インスパイア・ミー
 トミー・ウルフ作曲、フラン・ランズマン作詞。ウルフのフラタニティ盤のほか、歌詞にでてくるジャッキー&ロイのパラマウント盤などがある。こうしたアップ・テンポの曲では彼女のシラブルのリズムへの載せ方の巧さが際立つ。歌を楷書で歌える強みである。

Hジ・オールド・ニュー・ワルツ
 ベーシストのマイケル・ムーアが書いたメロディーにフランク・ライリーが歌詞をつけた。推測だがこれはサビに惚れこんでの選曲だと思う。閉塞感が開放されるような感性はダイアンの好むところだ。曲の有名無名に囚われず自分の感覚を100%押し通す選曲能力も彼女の魅力のひとつ。

Iモーメント・トゥ・モーメメント
 1965年の同名映画のためにヘンリー・マンシーニが作曲、ジョニー・マーサーが作詞した。マンシーニ作品の中でも地味なほうだがジャズメンからは愛される作品である。このようなスローな曲ではダイアンのフレージングの巧さがものを言う。休符の直前まで気を抜かない丁寧な歌いこみが聴き手の情感を持続させるのだ。7分を超える長尺だが最後まで緊張感が張り詰め、この曲の理想を体現した。

Jニューヨークの休日
 キャロル・コーツ(作詞)とピーター・ネロ(作曲)が同名映画(1963)のために書いた作品。Iからの流れの妙で、ぐっと気分が開放される。こうした高揚感の表現ではダイアンの透明感あふれる美声が生きる。

Kロマンス
 このトラックで共演しているジャック・ウィルキンズが作曲してマーク・パリセリーが歌詞を書いた。ダイアンの可憐さが曲調にマッチし、落ち着いた表情に終始する。

Lウェイヴ
 アントニオ・カルロス・ジョビンの代表曲であり、シンガーにとって難曲のひとつ。類をみないコード進行と音域の広さが歌い手を悩ませるのだ。ダイアンは大胆なフェイクを用いて難なく切り抜けるばかりか、この曲が本来もっているブルージーな側面を際だたせている。

Mワルツ・フォー・デビー
 ビル・エヴァンスが姪のために作曲し、自己のトリオで名演を残した。当然ながらピアニスティックな作風だが、後に愛らしくも気品のあるメロディーに歌詞(ジーン・リース)がつけられた。ダイアンはこの歌詞を丁寧に歌ったあとセカンド・コーラスからはスキャットに転じる。創唱はトニー・ベネットで、1964年(コロンビア)。






(2007年9月20日 小針俊郎)
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