『リトル・ガール・ブルー+1』/キャロル・スローン』/
キャロル・スローン Little Girl Blue + 1/Carol Sloane

フランク・シナトラ Frank Sinatra SSJ Presents CD

sinatra society of japan

Frank Sinatra フランク・シナトラ

スタンダード・ヴォーカル、ジャズ・ヴォーカルのトップ・スター=フランク・ シナトラ。
シナトラ・ソサエティ・オブ・ジャパン(Sinatra Society of Japan)は、 1981年12月13日、
シナトラの67歳の誕生日の前日、 つまりアメリカ時間で当日に、 熱心なシナトラ・ファン4人によって設立されました。

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TOPSinatra Society of Japan presentsスタンダード・ヴォーカル・アルバムの復刻・発掘>『リトル・ガール・ブルー+1』/キャロル・スローン

『リトル・ガール・ブルー+1』/
キャロル・スローン
Little Girl Blue + 1/
Carol Sloane
\2800 (XQAM-1036) 原盤:ラリー・エルガート
1959年/ニューヨーク 『ハッシャ・バイ』に続く、
キャロル・スローン最初期の、
しかも “未発表” の傑作バラード集
>>購入する  

  デビュー・アルバム『アウト・オブ・ザ・ブルー』(CSB)に先立つこと2年、 キャロル・スローンがラリー・エルガート楽団時代に吹き込んだ、初々しい未発表リーダー作品。
 


1. Little Girl Blue/リトル・ガール・ブルー  >>試聴
2. I've Got the World on a String/アイヴ・ガット・ザ・ワールド・オン・ア・ストリング  >>試聴
3. Bewitched/魅せられて  >>試聴
4. Someone to Watch Over Me/サムワン・トゥ・ウォッチ・オーバー・ミー  >>試聴
5. Danny Boy/ダニー・ボーイ >>試聴
6. What's New?/ホワッツ・ニュー?  >>試聴
7. Honeysuckle Rose/ハニーサックル・ローズ  >>試聴
8. Mood Indigo/ムード・インディゴ  >>試聴
9. Lover Man/ラヴァー・マン  >>試聴
10. You Stepped Out of a Dream/ユー・ステップト・アウト・オブ・ア・ドリーム  >>試聴
11. Walkin'/ウォーキン  >>試聴

 

 

初々しさの魅力 若き日のキャロル・スローン

 スタンダード・ソングを聴く場合、原曲の美しさを一層際立たせてほしいと願うヴォーカル・ファンは多いと思う。さらに情趣も豊かに、とくるのだから歌手にとって生易しい注文ではない。こうした聴き手を心底満足させるのがデビュー時代のキャロル・スローンである。
 歌手のなかには原曲から離れれば離れるほど、ジャズとしての価値が高まると考える人もいる。もちろんそこに一理あることは認めるが、しかしジャンルは何であれ声楽に接する喜びのひとつは、メロディーや歌詞を聴いてそこに表出される抒情に心身を委ねるということではあるまいか。
 よくジャズ・ヴォーカルを書道になぞらえて楷書、行書、草書などというが、その筆法で言えばキャロル・スローンの歌は御家流だろう。一点一画ごとに筆を上げ下げするような楷書ではなく、まだ固さが残る行書でもない。といって崩し字や続け字ばかりで読みとりが困難な草書でもない。そこへゆくと御家流は滑らかに書くために点画を省きこそすれ、あくまで達意が前提の書流だから読みやすい。キャロル・スローンの魅力はこれである。流麗でありながら放恣に走らず、曲の美しさと詞のメッセージを伝える力は完璧。しかもジャズ・ヴォーカルらしいエスプリが随所に光る。御家流だから三筆三蹟などとご大層なものではないが、そこは和光同塵、彼女の謙徳というもので技巧面からみれば無論ただ者ではない。彼女は円熟につれてフェイクやスキャットも多用する歌い方になっていくが、それも楷書以来の手習いあってのものである。
 『リトル・ガール・ブルー+1』は昨2008年の暮れに発売された『ハッシャバイ/キャロル・スローン』(SSJ XQAM-1031)と同時期同趣向の録音。二十歳そこそこの歌声をとらえたもので、清らかさとともに大歌手への熟成の予兆が感じられる快作である。こちらも当時のキャロルのリーダー、ラリー・エルガートのプロデュースによるもので、キャロルをソロ・シンガーとして推しだすプロモートのために録音したものだ。簡素な伴奏、アレンジはこのためだが、飾りが少ないぶん却って歌がストレートに露出してキャロル・ファンにとってはありがたい。選曲も著名スタンダードが揃って恰好のショウケースになっている。こんな名唱が今まで世にでなかったことが不思議なくらいだが、これもラリーが原盤を秘蔵していたためで、彼女のディスコグラフィーにもこれまで記載がなかった。
 ところで『ハッシャバイ』は、20年以上「幻の名盤」扱いをうけてきただけあって発売後の反響が非常に大きかった。それは中古レコード店でも希少高額であり、新装高音質での正規リリースを待ち望むファンの声が多かったのである。ご存知のようにキャロル・スローンの名が世にでるのは『アウト・オブ・ザ・ブルー』(1961年)以降で、続く『ライヴ・アット・30th・ストリート』(1962年)も好評だった。しかしその後ブランクがあり、彼女が広く実力を認められるのは1970年代も後半のことだった。 日本のヴォーカル・ファンの評価が本国アメリカやヨーロッパに伝播したためである。要すれば20歳代前半でデビューを飾りながら、多くのファンは大成後の彼女しか知らないという状況が続いていたということだ。『ハッシャバイ』はキャロルの人気が定着してきたこの時期(1987年。当時のタイトルは『ボディ・アンド・ソウル』)に出されたが、発売期間があまりにも短く瞬くうちに「幻」化してしまい、ファンの間には再発を望む声が高まっていた。SSJからの再発はこの世論に応えたものだが、しかし反響は渇望を満たされた充足感という面だけではなかった。成熟期以降の彼女しか知らなかったファンが、22歳の初々しいキャロルの歌声に打たれたという感動の側面も大きかったのである。今回、姉妹作ともいえる『リトル・ガール・ブルー+1』の発売はこうしたファンにとってさらなる歓びとなるだろう。
 収録曲を聴いていくと清新な歌声をとおして若き日のキャロルの優美な姿が浮かびあがってくる。この初々しくもまた艶やかな佇まいはヴォーカル・ファンを必ずや満足させるに違いない。

『リトル・ガール・ブルー』前後のキャロル・スローン

 キャロル・スローンは1937年生まれでロードアイランド州の出身。1951年ころから地元及びニュー・イングランド一帯のクラブなどで歌い始め、この間に結婚離婚も経験した。ラリー・エルガートとの出会いは1958年で1960年まで行動をともにする。退団後は秘書の仕事をしながら歌い続けるが、当時の彼女にチャンスを与えたのがランバート、ヘンドリックス・アンド・ロスのジョン・ヘンドリックスだった。アニー・ロスの代役をキープする目的で彼女に超絶技巧を要するロスのパートを覚えさせたのだ。この縁で彼らのヴィレッジ・ヴァンガード出演中(1961年)、自己のレパートリーを二曲歌う機会を与えられた。伝説のオーナー、マックス・ゴードンの耳にとまったのはこのときで、オスカー・ピーターソンの前座に起用される幸運にも恵まれた。またジョンの推薦で同年のニューポート・ジャズ・フェスティヴァル「ニュー・スターズ」プログラムにも出演、本作タイトル曲の「リトル・ガール・ブルー」を無伴奏で歌うという離れ業を演じた。評判を聞きつけたのがコロンビアで、同年の出世作『アウト・オブ・ザ・ブルー』以下の諸作につながっていく。

参加ミュージシャンについて

 本作のメンバーは別掲のとおりだが『ハッシャバイ』と異なるのは曲によってマーキー・マーコウィッツ(tp)と不詳のドラマー、フルーティストが加わっている点である。アルト・フルートのように聴こえるがラリー・エルガートの可能性もある。ベースはDを除くすべてがケニー・オブライエン。ギターの定位置は原則的に右チャンネルがチャック・ウェイン、左がラルフ・パットだが曲によって異動がある。バッキーー・ピザレリは原則中央。尚Jはラリー・エルガート楽団にキャロルが参加したもの(当時の名乗りは本名のキャロル・モーヴァン。ただしエルガートのRCA盤にクレジットはない)だが、バンド全体のパーソネルは不詳である。

 


【 曲目 】

@リトル・ガール・ブルー
ロレンツ・ハート(詞)とリチャード・ロジャース(曲)が1935年のブロードウェイ・ミュージカル『ジャンボ』のために書いた傷心の少女を慰める曲。本来は第三者の立場から少女を慈しむように歌われるため女性歌手の場合は微妙なのだが、キャロルはヴァースで背景をつくるとコーラスでは自身の心境として切々と歌っていく。簡素このうえない伴奏に若い美声がことのほか映える。

Aアイヴ・ガット・ザ・ワールド・オン・ア・ストリング
テッド・ケーラー(詞)とハロルド・アーレン(曲)が1932年のレヴュー『コットン・クラブ・パレード』のために書いた。恋の歓喜を誇張気味に描いた曲だが、キャロルの歌には仰々しさは皆無。それも声そのものが喜びに弾んでいればこそ。

B魅せられて
ロレンツ・ハート(詞)とリチャード・ロジャース(曲)によるミュージカル『パル・ジョーイ』(1941年)からの曲。「魅せられて」かき乱される女心。ギターがヴァースの旋律を奏でキャロルはコーラスから。まるで独り言のように歌詞をかみしめる。

Cサムワン・トゥ・ウォッチ・オーバー・ミー
アイラ・ガーシュウィン(詞)、ジョージ・ガーシュウィン(曲)のミュージカル『オー、ケイ!』(1926年)から。女性の気持ちのなかにある護られることの心地よさ、それへの憧れ。放心したようなキャロルの歌声にフルートがからむ。

Dダニー・ボーイ
アイルランド民謡に残る旋律にフレッド・E・ウェザリーが詞をつけた。去っていった息子を思慕する親心。言葉とメロディーを大切に歌うキャロルの真骨頂が聴かれる。この曲のみベースが不参。ビル・フィネガンのチェレスタが切ない。

Eホワッツ・ニュー?
ボブ・ハガートの曲(1938年)に後からジョニー・バークによって歌詞(1939年)がつけられた。別れた恋人との再会。未練の残る側からみれば相手の自若の様は残酷に映る。キャロルは内心の屈託を隠して平静を装う意地らしさ。透明な寂寥感がひろがる。

Fハニーサックル・ローズ
1929年にアンディ・ラザーフ(詞)とファッツ・ウォーラー(曲)がレヴュー『ロード・オブ・コール』のために書いた。恋もここまで手放しに惚気られるならいっそ微笑ましい。キャロルの声音は歓喜に輝いている。バッキーの合の手のような声が聴かれる。

Gムード・インディゴ
デューク・エリントンが書いた「ドリーミー・ブルース」(1930年)にバンド・メンバーであるバーニー・ビガードとマネージャーのアーヴィング・ミルズが歌詞をつけて1931年に発表された。この詞でいう藍の気分とは失恋の果ての孤独。ワードレスで歌われるサビに救いのない絶望感が漂う。

Hラヴァー・マン
1942年にジェイムズ・エドワード・デイヴィスがビリー・ホリデイのためにロジャー・ラミレス、ジミー・シャーマンとともに共作した。恋に憧れる少女の心が歌われる。湧きおこる男性への思慕の表現はビリー・ホリデイを筆頭に女性歌手の独擅場だが、キャロルの、身中の異変に戸惑う女心の表出はまさに処女のそれ。

Iユー・ステップト・アウト・オブ・ア・ドリーム
ガス・カーン(詞)とネイシオ・ハーブ・ブラウン(曲)が共作(1940年)し翌1941年のミュージカル映画『美人劇場』に使われた。夢の恋人を得て彼のすべてを美化してしまう女心。キャロルの歌声にどこか幽玄な趣があるのは、夢うつつの端境にあるからか。間奏部のトランペットはマーキー・マーコウィッツ。

Jウォーキン
1954年にリチャード・カーペンターが作曲したブルース。この一曲のみラリー・エルガート楽団に参加しての録音(1959年)。編曲はウェイン・アンドレ。キャロルは後半の合奏部分にリード・トランペットのような役割で現れる。

≪キャロル・スローン未発表音源シリーズ≫

『ハッシャバイ/Hush-A-Bye』 (XQAM-1031)
キャロル・スローンがコロンビアに吹き込んだデビュー・アルバム『アウト・オブ・ザ・ブルー』に 先立つこと2年、ラリー・エルガート楽団時代に吹き込まれたリーダー・アルバム。 1987年に短期間だけ日本でのみ発売されたレア・アイテム、待望の復刻である!

2009.6.8 小針俊郎
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