『クリスチャン・ジェイコブ・トリオ・ライヴ・イン・ジャパン+1』/クリスチャン・ジェイコブ Christian Jacob

フランク・シナトラ Frank Sinatra SSJ Presents CD

sinatra society of japan

Frank Sinatra フランク・シナトラ

スタンダード・ヴォーカル、ジャズ・ヴォーカルのトップ・スター=フランク・ シナトラ。
シナトラ・ソサエティ・オブ・ジャパン(Sinatra Society of Japan)は、 1981年12月13日、
シナトラの67歳の誕生日の前日、 つまりアメリカ時間で当日に、 熱心なシナトラ・ファン4人によって設立されました。

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TOPSinatra Society of Japan presents新録音シリーズ>『クリスチャン・ジェイコブ・トリオ・ライヴ・イン・ジャパン+1』/クリスチャン・ジェイコブ

『クリスチャン・ジェイコブ・トリオ・
ライヴ・イン・ジャパン+1』/
クリスチャン・ジェイコブ
The Christian Jacob Trio
Live In Japan + 1
Christian Jacob
特別価格
 (XQAM-1506)
原盤:SSJ
録音:2007年10月12日
東京神田・Tokyo TUCでライヴ収録
日 本 先 行 発 売
ボ ー ナ ス ・ ト ラ ッ ク 1 曲 追 加
>>購入する  

   2007年10月、日本のファンの前についに全貌を現した驚異のピアノ・トリオ= クリスチャン・ジェイコブ・トリオ。その圧倒的なプレイはどこの会場でも聴衆を完全にノックアウトした。 本作は超満員の中、その日本公演の最終日にレコーディングされた白熱のライヴ!
 


1. Too Close for Comfort/トゥー・クロース・フォー・コンフォート>>試聴
2. It Never Entered My Mind/イット・ネヴァー・エンタード・マイ・マインド>>試聴
3. Little Eyes/リトル・アイズ >>試聴
4. Hana/花>>試聴
5. Natsuno Omoide/夏の思い出>>試聴
6. Akatonbo/赤とんぼ>>試聴
7. Yukino Furu Machio/雪の降る街を>>試聴
8. State of Mind/ステート・オブ・マインド>>試聴
9. All or Nothing at All/オール・オア・ナッシング・アット・オール>>試聴
10. At Last/アット・ラスト>>試聴
11. Muddy Skies/マディ-・スカイズ>>試聴
 

 このアルバムはクリスチャン・ジェイコブから届いた日本のファンへの最高のプレゼントだ。日本の音楽に敬意を表し、聴き手の共感を得られる音楽を作るには?――自己のトリオによる初来日というこのチャンスに、クリスチャンは最良の演奏を捉えることにチャレンジ、そして成功した。アルバムのいたるところで聴かれる「驚き」「発見」「気づき」の瞬間。クリスチャン・ジェイコブの誠意、トリオの意思、音楽的主張がしっかり刻み込まれている。まずは来日前に行ったインタビューから紹介したい。

   私は日本のオーディエンスを心から尊敬している。彼らの前で演奏していると、その場で進行している音楽の流れに注意深く耳を傾け、その場で生み出される音楽から何かを吸収しようとしている。そのことが、演奏している私たちにもちゃんと伝わってくる。
 私自身、この度のツアーは本当に楽しみにしているんだ。ベーシストのトレイ・ヘンリーとドラマーのレイ・ブリンカーは、どちらも偉大なミュージシャンだし、この3人は私のトリオやティアニー・サットン(vo)のリズム・セクションですでに15年以上の共演歴を誇る。 それから世界初公開!のレパートリーとして、日本人なら誰もが知っている「四季にちなんだ楽曲」を演奏するよ。
                           (Jazzlife 2007年10月号掲載のインタビューより)
 クリスチャンの奥さん、ワイルダー・ジェイコブ(クリスチャンの自主レーベルの名前にもなっている)は、故メイナード・ファーガソンの娘だ。彼女からもコメントが届いた。
 このアルバムはライヴ録音で、クリスチャンがリーダーとして行った、初めての日本ツアーの最終日に収録されたものです。「自分のトリオで日本に行き、そこでCDのための録音をする」と決まり、彼は「これはやり甲斐のある仕事だ」と感じました。どんなCDを作ろうか、じっくり計画を練ったのです。この録音は彼にとって、新しく素晴らしい経験となりました。

 クリスチャン・ジェイコブは、1958年5月8日フランスのロレーヌ生まれだから今年で50歳。売り出し中の若手という年齢ではないけれど、日本のジャズ界で、今もっとも注目を集めているピアニストのひとりだ。
 4歳でピアノをはじめ、5歳で絶対音感を獲得。メッツ音楽院とパリの名門コンセルバトワールを経て、1983年には渡米し、バークリー音楽大学に入学した。卒業後の1986〜89年はバークリーの教員として活躍。リーダー作は、1996年に録音された初リーダー作『Maynard Ferguson Presents Christian Jacob Trio』(Concord Jazz)を筆頭に、これまで4枚のリーダー作を出している。2008年2月現在、ロサンゼルスを中心に活動を続けるクリスチャンは、人気歌手のティアニー・サットンの伴奏者をはじめ、カール・サーンダース(tp)、ジャック・シェルドン(tp)、ビル・ホールマン(ts)のビッグバンドなどでも活躍している。
 デビュー当初、メイナード・ファーガソンの秘蔵っ子と知られたクリスチャンは、自己レーベルを設立、昨年国内盤で発売された『Styne & Mine』と『Contradictions』の2枚で圧倒的な支持を獲得している。
 そんな人気急上昇中のクリスチャンが2007年10月6日から13日、自己のトリオを率いての初の来日を果たした。ツアーは横浜ジャズ・プロムナード(7日)、東京・目黒の Blues Alley(8日)、渋谷JZ Brat(10日)と続き、最終日の12日(金)、東京・岩本町『Tokyo TUC』でこのライヴが収録された。
 ツアーを振り返って、クリスチャンは次のように語る。「とても感銘を受けた。というのも、会場で会ったファンの多くが、僕のCDを全部持っていた。初対面なのに僕の音楽を熟知していてくれたのだ。すごく光栄に感じたし、気分は最高だった」。
「もっとも感動的だったのは、横浜ジャズ・プロムナードで演奏した時だ。僕を全く知らない、たぶん初めて聴いたお客さんが、トリオの演奏に感激し、暖かく受け止めてくれた。終演後、彼らが送った拍手、歓声、そして会場の雰囲気。僕がいままでに経験したことのない最大級の賛辞だった」。
 トレイ・ヘンリー(b)は、1963年3月4日カリフォルニア州サンタモニカ生まれの44歳。レイ・ブリンカー(ds)は、1960年7月25日ペンシルヴェニア州ハーシェイ生まれの47歳。彼らとクリスチャンの共演歴は15年を越える。「バンドの中で起こっていることに、つねに注意を払いトリオを新しい可能性へと導いてくれる。15年以上の知り合いという事実は、互いの創造性を感じながら、演奏を通じて音楽の会話を楽しむこともできる。僕がいつ、どんな時、どんな場合に音楽の方向を転換させても、瞬時についてくる。すばらしいリズム・セクションなんだ」。
マスタリングの結果、ライヴ収録された聴衆の拍手や歓声はフェイドアウトされ、かなり小さくなっている。これは客席の臨場感よりも、音楽の密度や演奏者たちの集中力をよりダイレクトに伝えたい、クリスチャンの意思を反映している。

 

演 奏 と 曲 目 紹 介


 アルバムは、スタンダードの〈Too Close for Comfort〉で始まる。クリスチャンは、速い4ビートで、無伴奏ソロを5コーラスに渡って披露、聴衆の関心を引きつけたところでリズムの2人が加わりテーマが提示される。楽曲の形式はAABA32小節。Aの部分は6/8拍子、Bの部分は4/4でカウント。その後クリスチャンのソロとなるが6拍子をピアノは(3+3)、ドラムは(2+2+2)で、それぞれカウントするところから独特のドライヴ感、浮遊感を生みだしている。
 続くバラードの〈It Never Entered My Mind〉は、「恋人と楽しい日々を送っていた時、いつか別れる時がくるとは想像もしなかった」という歌詞をもつ。この失恋の歌をクリスチャンは無垢な気持ちで表現していく。心を真っ白にした時に、内面から浮き出てくるメロディーの美しさ。「この曲を演奏する時、オーケストラを聴いているような感じがする」。
 〈Little Eyes〉は、その名の通りチャーミングな小品。「ある夜、真っ暗闇の森の中から小さく光ってみえる2つの眼差しを見た。それが人間のものだったのか、動物のものだったのか確証はない。うまくいえないが、この体験で私が感じ取ったその生き物の聡明さ、経験、気恥ずかしさを表現した」とクリスチャンは語る。

 ここから本作のハイライトというべき、クリスチャンが日本のファンのために用意してくれた4曲を楽しんでいこう。
 「《日本人なら誰もが知っている日本の曲にチャレンジしたい》というのは私のアイディアだ。妻の友人でユリカ・デニスという日本人女性が、彼女の息子が参加した合唱団のテープを送ってくれた。「これらの曲なら、日本人の誰もが知っているわ」と私たち夫婦に教えてくれた。そのなかからこの4曲を選んでアレンジしてみた。ユリカも私の演奏を非常に気に入ってくれた」。
 オープニングは滝廉太郎の〈〉。歌詞にもあるように日本の「春」を想起させる代表的な曲だ。「まず、この曲をどうリハーモナイズするかについて考えた。シンプルなメロディーに意外なコードをつけるというのが、わたしの流儀だ。そうすれば聴き手の心を開かせることができるからね。リズムのフィーリングは、ゆったりとした3/4拍子で、これも予想外のアプローチだろう」。ドラマーのレイ・ブリンカーが刻む12ビート(4+4+4)ビートが、演奏の底辺を支える。
 続く中田喜直の〈夏の思い出〉を、クリスチャンはファンクという視点で解釈を試みる。「そう、ファンキーなアプローチさ。各ビートの4番目に置かれた16分音符に、リズミックなアクセントを置くとどうなるか?という好奇心から始まった。その好奇心にトレイがご機嫌なベース・パターンを考案してくれた」。演奏の後半、4ビートに移行し、ピアノ・ソロのスピード感もアップ!最後にブリンカーが白熱のドラム・ソロを繰り広げる。
 つよく心打たれるのが山田耕筰の書いた〈赤とんぼ〉の鮮やかさ。繰り返し転調されていくメロディーが描き出すのは、まさに秋の夕ぐれの空の広がりだ。「長3度の循環でE、Aフラット、C、Eに戻るという具合に。リズムのイメージはジャズ・ワルツだね」。クリスチャンのアプローチが想起させるのは、われわれが共通認識として持つ古きよき時代の日本の情景、そして郷愁であろう。
 「四季」組曲の最後は、男声合唱の代表的なレパートリーでもあるこれも中田喜直の〈雪の降る街を〉。冬の厳しさを表現したこの曲に、クリスチャンは変拍子という「仕掛け」を施す。最初の8小節が12/8拍子、続く6小節が4/4拍子(4ビート)、そしてラスト4小節が9/8拍子という具合だ。レイ・ブリンカーの激しいドラム・ソロの後、会場では割れんばかりの拍手が鳴り響いたのだが、このアルバムではかなり抑制されているのがわかる。このソロは文字通り雪降る街の冷たさ、厳しさを表現しているように、私には聴こえる。
「これらは4つの楽章で構成されるソナタのつもりなんだ。それぞれの楽章は互いに個性的で、互いに補完しあうという関係でね」。

 

 クリスチャンの考える「日本の四季」を味わった後は、気分も新たに。再びクリスチャン・ジェイコブ・トリオで、オリジナルとスタンダードの世界に誘う。ビル・エヴァンス、キース・ジャレットなど、彼が影響を受けた音楽的ルーツを知る興味深い演奏が並ぶ。
 〈State of Mind〉はソロ・ピアノ。「5年前にフローラ・プリム(vo)のために書いた。曲を書く時に少しブラジル音楽の要素を取り入れようと思った。このコンサートでは、ビル・エヴァンスの流儀に沿ってピアノに向かった」。クリスチャンの言葉に偽りはない。思わず息を呑む素晴らしいソロである。
 続く〈All or Nothing at All〉でのクリスチャンは、「開放された4ビートを聴いている。曲を作り上げている途中でビートを分割する。アドリブの時はリズムに注意を払い、トレイとレイが音楽全体の流れに注意深く耳を澄まし、僕のピアノに追従し、ぼくの表現をしっかり補完してくれる」。
 最後は〈At Last〉。ハリー・ウォーレンとマック・コードンが書いたこの曲を、クリスチャンは、ラスト・ナンバーにふさわしく、映画のタイトルロールのように、威厳のある演奏に仕上げる。「壮大な情景と、甘美な思い出をミックスさせた。キース・ジャレットの影響が感じられるって?その通りだ。だって僕は彼の大ファンだもの」。
 ラストの〈Muddy Skies〉は、日本盤のみ収録のボーナス・トラック。「とても個人的な曲で、お気に入りなんだ。ずいぶん昔、そう25年くらい前に書いた。スカイとは、頭の上に青く広がる本当の空ではなく、僕の心の空なんだよ。気分が塞いでいる時に、ふと浮かんだ楽しい思いつき――そんなイメージを膨らませた」



2008年2月 後藤 誠/Makoto Gotoh
http://rifftide.exblog.jp
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