『スタイン&マイン』/クリスチャン・ジェイコブ Styne & Mine/Christian Jacob

フランク・シナトラ Frank Sinatra SSJ Presents CD

sinatra society of japan

Frank Sinatra フランク・シナトラ

スタンダード・ヴォーカル、ジャズ・ヴォーカルのトップ・スター=フランク・ シナトラ。
シナトラ・ソサエティ・オブ・ジャパン(Sinatra Society of Japan)は、 1981年12月13日、
シナトラの67歳の誕生日の前日、 つまりアメリカ時間で当日に、 熱心なシナトラ・ファン4人によって設立されました。

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TOPSinatra Society of Japan presentsジャズ・アルバム (インストゥルメンタル)>『スタイン&マイン』/ クリスチャン・ジェイコブ

『スタイン&マイン』/
クリスチャン・ジェイコブ
Styne & Mine/
Christian Jacob
特別価格
 (XQAM-1601)
Wilderjazz原盤
2003年録音  
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   ビル・エヴァンスをはじめとするジャズ・ピアノのエッセンスに加えて、フランス人らしいエスプリと ピアニスティックな切れ味で人気急上昇中のクリスチャン・ジェイコブ、待望の日本デビュー盤登場。
 


1. Just in Time/ジャスト・イン・タイム >>試聴
2. It's You or No One/イッツ・ユー・オア・ノー・ワン>>試聴
3. Guess I'll Hang My Tears Out to Dry/涙にぬれて>>試聴
4. Never Never Land/ネヴァー・ネヴァー・ランド>>試聴
5. Lydia's Crush/リディアズ・クラッシュ>>試聴
6. Piece One/ピース・ワン>>試聴
7. Piece Two/ピース・トゥー>>試聴
8. Piece Three/ピース・スリー>>試聴
9. People/ピープル >>試聴
10. As Long As There's Music/アズ・ロング・アズ・ゼアズ・ミュージック>>試聴
11. I Fall in Love Too Easily/アイ・フォール・イン・ラヴ・トゥー・イージリー>>試聴
12. Time After Time/タイム・アフター・タイム>>試聴
13. The Party's Over/パーティーズ・オーヴァー>>試聴
 

Christian Jacob / Styne & Mine

 最新作である『Contradictions』で僕らを驚かせてくれたピアニスト、クリスチャン・ジェイコブが自己のレーベル、Wilderjazzに吹込んだ第1作がこの『Styne & Mine』。タイトルが示すようにジュール・スタインと自己の作品を誇らしげに取り上げていることから分かるように、成熟した彼のピアノ・スタイルと音楽への真摯なまでの取り組みを表出した傑作である。

Christian Jacob Profile & His Music


 1958年5月8日、フランスのロレーヌに生まれたクリスチャン・ジェイコブは、4歳からピアノを始め、2年後の“6歳”でメッツ音楽院に入学(特待生待遇だったという)してしまうという神童ぶりだった。またジャズには10歳で目覚めたというから、なかなかの早熟ぶりではある。いわゆる“絶対音感”(パーフェクト・ピッチ:新潮文庫『絶対音感』最相葉月著をご参照ください)の持ち主であり、メッツ音楽院もこれゆえに入学が許可されている。そして12歳にして、なんとパリのコンセルバトワールに入学してしまうのである。これらの少年期の逸話からも分かるようにクラシックへの憧憬と揺るぎないピアノ・テクニックの基礎は、生まれ故郷のフランスで形作られたと言っていいだろう。なおクリスチャンの最初のアイドルは、デイヴ・ブルーベックとオスカー・ピーターソンだという。  10代前半で地元のミュージシャンが作ったビッグ・バンド「ジャズ・スインガーズ」に参加し、ジャズのコード・チェンジなどのジャズ・イディオムを習得、ジャズへの傾斜を深めていく。そんな中80年代初頭に米国のボストンにあるバークリー音楽院へ入学する。ヴァイブのゲイリー・バートン等に師事し、在学中に「ジョー・ザビヌル・ジャズ・マスターズ賞」「オスカー・ピーターソン・ジャズ・マスターズ賞」を立て続けに受賞、ダウンビート誌の学生ジャズ・ソロイスト賞なども取得し、バークレーでの教職の道に進んだ。
 80年代後半にバートンとの楽旅の為ボストンを離れ、後にクリスチャンの義父にもなるトランペッター、メイナード・ファーガソンのバンドに参加する。ファーガソンのバンドでピアニスト兼アレンジャーという大役を任され、あまりに気に入られて、なんと娘さんまで貰ってしまうということになるが、いずれにしてもファーガソンのお気に入り(肝いり)で初トリオ作『Maynard Ferguson Presents Christian Jacob』(ジョン・パティトゥチ、ピーター・アースキンとのトリオ:1996年)と『Time Lines』(スティーヴ・スワロー、アダム・ナスバウムとのトリオ:1999年)をConcord に吹込むことになる。

 その後、西海岸で数多くのビッグ・バンド(ファーガソンを筆頭にビル・ホルマンのオーケストラ、トランペッターのカール・サーンダースやゲイリー・アーウィンらのオーケストラなど)でピアニスト兼アレンジャーとして活躍していることは彼の“今”を知るために忘れてはならないことだろう。特筆すべきは、Telarc レーベルの歌姫、ティアニー・サットンの伴奏ピアニスト兼アレンジャーというポジションを務めていること(すでに10年にも及ぶ)。ここでのクリスチャンの役目は、ティアニーが歌いやすい環境を作ることは当然にしても、数多くのスタンダードに的確な(彼女にあった)アレンジを附し、さらに聴き手にもピアニストとしての個性(ハッとするようなソロが多い)をしっかり伝えてくれていることだろう。「歌伴が上手いピアニストに悪いピアニストはいない」ということをしっかり認識させてくれる作品群でもある。またもう一つ、ノルウェーの素晴らしいベーシストであるテリエ・ゲーヴェルトとのデュオ3部作(Resonant)も作り上げている。クリスチャンを語る上で忘れてはならない作品群であり、ピアニストとしての力量を十二分に発揮した秀作群でもある。

 さて、そんなクリスチャン・ジェイコブが満を持して2003年4月7日と8日に、自己のレーベル、Wilderjazzに録音したのが本作『Styne & Mine』である。ティアニー・サットンのバンドで一緒にプレイしているベースのトレイ・ヘンリー、ドラムスのレイ・ブリンカーとのピアノ・トリオ作品であり、演奏される曲の随所に三者の息の合ったプレイが楽しめる。そして驚くべきは「ジュール・スタイン作品集」となっていることだろう。今でこそ、ミシェル・ペトルチアーニ作品集とも言うべき『Contradictions』(Wilderjazz)が昨年発表されているので驚きはしないが、当初なぜにスタイン集なの?と思ったのも事実。しかし、この作品をお聴きいただければ分かるように、スタインの名曲がご機嫌なメロディー・ラインとともに現代に甦っていることには耳を傾けないわけに行かないだろう。

■About Jule Styne
 ここで少しだけスタインのプロフィールを知っていただこう。
ハリウッドとブロードウェイで活躍した偉大なソングライター Julius Kerwin Stein は1905年(明治38年)の大晦日に、ウクライナからの難民の子としてロンドンで生まれた。1912年には一家とシカゴに移り、クラシック・ピアノの世界で類まれなる才能を発揮したが、掌が小さかったことからコンサート・ピアニストの道を断念。高校卒業後はジャズやポピュラー音楽の世界に入るが、後にハリウッドの大プロデューサーとなる若き日のマイケル・トッドの勧めもあって作曲を始めた。スタインの作風は幼少の時だとはいえ住んでいた英国的な落ち着きと、クラシック的なしっかりした曲構成に特徴があり、スタインの曲を演るということはジャズ・ミュージシャンにとってひとつの挑戦だろう。

 1930年代後半にハリウッドに招かれ、この地で作詞家のサミー・カーンと歌手のフランク・シナトラの知己を得たことがその後の大きな成功へとつながった。1940年代サミー・カーンとのコンビで「I’ve Heard That Song Before」、「Saturday Night」、「I Fall in Love Too Easily」、「Five Minutes More」、「Time After Time」、「It’s Magic」ほかを発表しその多くがフランク・シナトラの歌でヒットした。1954年には30分で書き上げた「Three Coins in the Fountain」でアカデミー主題歌賞を受賞している。

 1947年スタイン=カーンのコンビは『High Button Shoes』でブロードウェイでも成功したがその後ふたりはコンビを解消し、スタインは主にブロードウェイに活躍の場を移して、『Gentlemen Prefer Blondes』や『Bells Are Ringing』、『Gypsy』、『Funny Girl』等々、後に映画にもなったヒット・プロダクションを次々と発表した。

1972年には Songwriters Hall of Fame 入りし、1990年には米国最高の芸術勲章ともいえる Kennedy Center Honors を授与された。1994年9月20日ニューヨークで死去。




【 曲目 】

@Just in Time(56年『Bells Are Ringing』)
意表を突くリズム・パターンを用いてメロディーを歌わせるこのトリオの、そしてアレンジャー=クリスチャン・ジェイコブの真骨頂がこの1曲目から炸裂している。この曲をこういう風に料理するのか、とも思ったオープナーだ。アドリブ部分で8ビートに料理するところなど、彼のピアニスト&アレンジャーとしての魅力もタップリ味わえる。 AIt's You or No One(48年『Romance On The High Seas』)
これまた一瞬<いつか王子様が>かと思わせる出だし。その流れからテーマへなだれ込むようにしてアドリブを繰り広げるクリスチャン。涌き出でる泉のようなアドリブ・コーラスは必聴。流麗なテンション・コードを繰り出すあたりは思わず聞き耳を立ててしまうほど。5分という演奏時間がとても短く感じられる密度の濃いプレイだ。

BGuess I'll Hang My Tears Out to Dry(44年『Glad To See You』)
本作で2曲参加している歌姫ティアニー・サットンのヴォーカルをフィーチャーする1曲目。クリスチャンのピアノのみをバックにしっとりと歌うティアニーの切々と綴る女心にジーンと来る。それにしても彼女の歌には、若手の女性にはない説得力がある。クリスチャンの歌伴の旨さここにありという1曲。作詞はサミー・カーン。

CNever Never Land(54年『Peter Pan』)
これはクリスチャンのアドリブ・ショーケース。イントロから8ビート風味のテーマ、そして魅力タップリのアドリブ(4ビート)が連続する。ファニーなテーマながら、これまたこの曲をこう弾くのか!という驚きが。それにしてもクリスチャンのタッチの芳醇な味わいは素晴らしいものがある。

DLydia's Crush(クリスチャン・オリジナル)
この曲は、ビック・ルイスの『West Coast Jazz』(Candid)でも取り上げられていたクリスチャンの名曲バラード。そのまま映画音楽に使われてもおかしくないほどの哀愁を帯びたテーマが美しい。上記作品と同じスコアを使っている。ここでのクリスチャンのソロ・ピアノは、まさにマスターピース。

EPiece One(クリスチャン・オリジナル)
アメリカ生まれのジャズマンには書けないようなテーマを持った曲。欧州ジャズがお好きな方は、この1曲でノックアウトされるに違いない。ベース、ドラムスとのインタープリテーションも秀逸で、このトリオ・メンバーの阿吽の呼吸が聴き手の我々にも伝わってくる。トレイのベース・ソロをフィーチャー。

FPiece Two(クリスチャン・オリジナル)
6曲目の変奏曲ともいえる作品。しっとりと歌うクリスチャンのピアノにウットリしてしまう。彼のオリジナルを聴くとフランス生まれなんだよなぁ、ということが良く分かる。難しい不定形なテーマを難なくこなしているベース、ドラムスの二人にも脱帽。5分近いトラックだが、あっという間に・・・。

GPiece Three(クリスチャン・オリジナル)
ミディアム・アップのテンポで演奏されるテーマは、演奏するにはかなりテクニックが必要だが、ここでも三者は難なくこなしている。クリスチャンのグイグイと弾き込むアドリブが心地よい。ドラムスのレイ・ブリンカーを短くフィーチャー。彼がとてもヴァーサタイルなスタイリストだということが良く分かる。

HPeople(64年『Funny Girl』)
ここでの優美さに、ジョージ・シアリングの演奏を思い出してしまった。しっとりと歌うバラード・プレイが聴き所だが、インテンポしてスイングしていくアドリブ・ラインも美しい。トレイの弾くベース・ラインの響き、浮遊感覚で叩くレイのドラムスがまさに三位一体となった名曲名演。

IAs Long As There's Music(44年『Step Lively』)
クリスチャンにこの手の曲を弾かせたら鬼に金棒のような気がする。しっとりと歌い上げる甘美なまでのピアノの一音一音が美しい。原曲の歌詞を歌いながら演奏しているとしか思えないほどのタッチである。本作の中でも美しさは白眉。ビル・エヴァンスが弾いているように思えてならない1曲。

JI Fall in Love Too Easily(45年『Anchors Aweigh』)
テーマの最初の8小節を歌われただけで「参りました」。凄い説得力である。ティアニー・サットンという歌手はもっと注目されていい。それにしても歌が終わった後のクリスチャンのソロは本当に美しい。歌心ここにありを実証している名演。ティアニーに恋に落ちてしまいそうではある。作詞はサミー・カーン。

KTime After Time(47年『It Happened In Brooklyn』)
ミディアム・アップのテンポでのテーマ・アレンジが素晴らしい。トレイのベースをフィーチャーした1曲。彼はウッド・ベースも上手いが、フレーズ作りにエレクトリック・ベースのテクニックを加えている新感覚なベーシストのように思える。それにしてもクリスチャンのソロに釘付けだ。

LThe Party's Over(56年『Bells Are Ringing』)

終曲に相応しいタイトルの曲をクリスチャンは選曲してきた。ソロ・ピアノでプレイされるが、このセンスの良さこそ、ティアニーと一緒に演ってきた成果が現れている。3分の短い演奏だが、思わず歌が入ってきそうな瞬間がある。もっと聴いていたいと思わせる名演でパーティーの幕が閉じられる。






(2007年1月15日 佐藤衆治)
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