『ブルース・オン・ザ・サイド 』/ カール・サーンダース Blues On The Side/ Carl Saunders

フランク・シナトラ Frank Sinatra SSJ Presents CD

sinatra society of japan

Frank Sinatra フランク・シナトラ

スタンダード・ヴォーカル、ジャズ・ヴォーカルのトップ・スター=フランク・ シナトラ。
シナトラ・ソサエティ・オブ・ジャパン(Sinatra Society of Japan)は、 1981年12月13日、
シナトラの67歳の誕生日の前日、 つまりアメリカ時間で当日に、 熱心なシナトラ・ファン4人によって設立されました。

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TOPSinatra Society of Japan presentsジャズ・アルバム (インストゥルメンタル)>『ブルース・オン・サ・サイド 』/ カール・サーンダース

『ブルース・オン・ザ・サイド 』/
カール・サーンダース
Blues On The Side/
Carl Saunders
特別価格
 (XQAM-1604)
原盤:Itsus Jazz
録音:2003年6月17日・9月30日/
チャーリー・オーズ
(カリフォルニア州ヴァンナイス)
でのライヴ 
日 本 初 登 場
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   日本では一部のファンにのみ注目されている、知る人ぞ知るカール・サーンダースだが、彼は米西海岸最高の トランペットの名手だ。サーンダースの日本デビュー盤は完璧なトーン・コントロールと 快いスイング感で縦横に吹きまくるワンホーン・クァルテットによるご機嫌なこの1枚。 ピアノは今注目のクリスチャン・ジェイコブだ。
 


1. There Will Never Be Another You/ゼア・ウィル・ネヴァー・ビー・アナザー・ユー>>試聴
2. Happy Go Lucky/ハッピー・ゴー・ラッキー  >>試聴
3. Can You Dig Being Dug?/キャン・ユー・ディグ・ビーイング・ダグ?>>試聴
4. Yesterdays/イエスタデイズ>>試聴
5. Calming Notion/カーミング・ノーション>>試聴
6. Midi Evil Blues/ミディ・イーヴル・ブルース>>試聴
7. One Note Samba/ワン・ノート・サンバ  >>試聴
8. What Can I Say?/ホワット・キャン・アイ・セイ?>>試聴
9. The Girl from Cancun/ザ・ガール・フロム・キャンカン>>試聴
10.. Blues on the Side/ブルース・オン・ザ・サイド>>試聴
 
 

 カール・サーンダース。この驚異的な技術とあふれるばかりの歌心を持つトランペッターの名前を知るジャズ・ファンの数は、こと日本においては驚くほどに少ない。
いや、実は一部ではサーンダースは超一流トランペッターとして高く評価され、輸入盤が入荷するとたちまち裏情報が飛び交って売り切れになったりもしているのだが、我が国のジャズ・ジャーナリズムの場で彼の名が大きく語られたことは、もしかしたら一度もなかったのかもしれない。
 プロアマを問わずジャズ・トランペットを演奏する人々と、熱心なビッグバンド・ファンにはほとんど神格化され、一般のジャズ・ファンにとっては無名に等しい、というこの状況は、サーンダースの実力と才能からして、どう考えてもおかしいのだ。今回、やっと日本で発売されることになったこのリーダー作で、彼のすばらしさが多くのジャズ・ファンに伝わればうれしいのだが。
 ちなみに、僕がサーンダースの本当の凄さを痛感したのは、ボブ・フローレンスのビッグバンドが数年前にリリースしたCD『Serendipity 18』の中の「Now Playing」を聴いたときだった。9分半を超えるこのバラードで、サーンダースはほとんど出ずっぱりでテーマとソロを吹いているのだが、前半はフリューゲル・ホーンで、後半はトランペットで演奏されるそのソロのすばらしさと言ったら! 最低音から最高音までを何のストレスもなく余裕で吹ききり、微細なニュアンスを込めた息の長いフレージングは惚れ惚れするほどに滑らかで、マイナーのコード進行に乗ったアドリブ・フレーズの美しさにはため息が出てしまう。たとえばメイナード・ファーガソンやアルトゥール・サンドバルのような、豪快にハイノートを鳴らしまくるタイプではなく、サーンダースの高音域は中音域とまったく音色も音量も変わらずに、す〜〜〜っと自然に伸びていくのだ。これがいかに難しいことか、トランペットを演奏しない僕には本当の意味ではわからないのだが、まあ常識で考えても、小さい音できれいなハイノートをスムーズに出し、しかもそれがきわめて息の長いフレーズをごく自然に形成する、ということの難しさは想像できる。だから、トランペッターの友人たちに「Now Playing」を聴かせると、口をあんぐり開けて「すすすす、すごすぎる!」と言いますね、みなさん。
 そしてサーンダースの凄い点はもうひとつ、ビッグバンドのリード・トランペットとソロイストのどちらをやらせても完璧に上手い、というところだろう。彼はビル・ホルマンのビッグバンドでリードを、ボブ・フローレンスのバンドではソロイストを勤めているのだが、サーンダースと親交の深いトランペッターの辰巳哲也氏によると、フローレンスのところで見事なソロを吹いているサーンダースを見たホルマンは、自分のバンドでは一切ソロを吹かないのに…と、顎が外れるほどに驚いたのだという。この『ブルース・オン・ザ・サイド』はワンホーン・カルテット編成で、彼のソロイストとしての魅力がたっぷり楽しめる作品だが、これを期に、サーンダースが参加したビッグバンド作品にも注意を向けていただければ、と思う。

 さて、ではここでサーンダースのバイオグラフィーを紹介しておこう。1942年8月2日、インディアナポリスに生まれたサーンダースは、5歳のときに歌手だった母親と共にロサンゼルスに引っ越す。LAで彼らは叔母(母の妹)夫婦と同居したのだが、叔母の夫は、ウェストコーストのサックス奏者でアレンジャーとしても著名なデイヴ・ペルだった。カールはそこでデイヴ・ペル・オクテットのレコードを聴き、そのトランペッターであるドン・ファーガキストのスタイルに影響を受けたとのことだ。
 7年生(13歳)のときにトランペットを本格的に始めたサーンダースは、以前スタン・ケントン楽団の歌手だったことがある母に紹介されて、ケントン楽団のオーディションを受けた。トランペット・セクションに空きができるまで待つか、メロフォニウム・セクションの一員として入団するかの選択を迫られたカールは後者を選び、1961年から62年にかけてケントン楽団の一員として働いた。
 1962年から63年には、伯父(母の兄)であるボビー・シャーウッド(トランペッター)のバンドでドラマーとして働き(サーンダースはドラマーとしてもかなりの腕前の持ち主だ)、1964年にはラスヴェガスに移って、それからの20年間、彼はラスヴェガスのショウバンドでリード・トランペッターとして活動することとなった。エラ・フィッツジェラルド、トニー・ベネット、フランク・シナトラなどの厚い信頼を受けたサーンダースは、ラスヴェガスきってのトランペッターとして活躍する一方、ハリー・ジェイムスやベニー・グッドマン、メイナード・ファーガソン、チャーリー・バーネットなどのバンドにも参加した。
 そして1984年、彼はロサンゼルスに戻り、それ以来ロス界隈で屈指のトランペッターとして大活躍することとなる。前述したようにビル・ホルマンやボブ・フローレンスのビッグバンド、スーパーサックス、そして1994年には、叔父であるデイヴ・ペル・オクテットのトランペッターにもなった。リーダーとしてのサーンダースは、自己名義のビッグバンド、セクステット、カルテットを組織し、リーダー作もコンスタントにリリースしている。

 この『ブルース・オン・ザ・サイド』(原題は "Can You Dig Being Dug?")は、2005年にリリースされた、現時点でのサーンダースの最新作だ。彼にとっては初めてのライヴによるリーダー作で、クリスチャン・ジェイコブ(ピアノ)、デイヴ・ストーン(ベース)、サント・サヴィーノ(ドラムス)というリズム・セクションを従えてのワンホーンによる演奏だ。
 最近日本でも人気が出てきたクリスチャン・ジェイコブは、フランス生まれのピアニスト。1978年にアメリカに渡ってバークリー音楽大学で学び、その後ゲイリー・バートン・グループを経てメイナード・ファーガソンの「ビバップ・ヌーボー・バンド」に参加、1997年には初リーダー作『メイナード・ファーガソン・プレゼンツ・クリスチャン・ジェイコブ』(コンコード)を発表した。それ以後、現在までの単独リーダー作は『タイム・ラインズ』(1999年)、つい先ごろ本SSJレーベルから日本デビュー盤として登場した『スタイン&マイン』(2004年)、『コントラディクションズ』(2006年)の4枚がある。
 ロスで育ったベーシストのデイヴィッド・R・ストーンは1955年7月14日生まれ。レイ・ブラウンやモンティ・バドウィック、ミルト・ヒントン、ボブ・ストーン(父親)らの影響を受け、レイ・アンソニー、ウディ・ハーマン、スタン・ケントン、ハリー・ジェイムス等の楽団でプレイしたほか、フランク・シナトラ、バーブラ・ストライザンド、ウィリー・ネルソンらのレコーディングにも参加した。サーンダースとはルイ・ベルソン、スタン・ケントンのOBバンドやスモール・コンボ等、多くの機会に共演してきた。
 ドラマーのサント・サヴィーノは1937年4月4日生まれ。6歳の時に感動したアート・ブレイキーやマックス・ローチ、フィリー・ジョー・ジョーンズ、バディ・リッチらがヒーローで、フィル・ウッズ、バーニー・ケッセル、ハリー・エディソン、トニー・ベネット、エラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーンらと共演した。サーンダースと知り合ったのは1960年代中ごろで、ラウール・ロメロ(Raoul Remoro)のバンドだった。

 演奏については、ここで多くを語る必要はないだろう。スタンダード、ブルース、そしてサーンダースのオリジナルを、トランペットの至芸をたっぷりと聴かせるということに徹底して演奏するこのカルテットの音楽は、「とにかく聴けばわかる」楽しさに満ちあふれているのだから。冒頭の「ゼア・ウィル・ネヴァー・ビー・アナザー・ユー」のテーマとそれに続くソロをちょっと聴いただけで、あなたはサーンダースがただならぬトランペッターであるということを瞬時に理解できるはず。後はいい気分で首を振りつつ、オープン・トランペット、ミュート・トランペット、フリューゲルホーンを使い分けて、ひたすら気持ちいいフレーズを延々と吹き続けるサーンダースの名人芸を堪能するだけだ。

   なお、他のサーンダースの単独リーダー作には、セクステットとカルテットによる『アウト・オブ・ザ・ブルー』(1995年)、大編成ストリングスを従え、ボブ・フローレンス、ビル・ホルマン、クレア・フィッシャーなどが編曲を担当した『エクレクティシズム』(2000年)、そしてビッグバンド編成による『ビバップ・ビッグバンド』(2002年)などがある。今後、これらの作品の日本でのリリース、そして来日公演の実現を、ぜひとも期待したいところだ。

(2007年5月 村井康司)
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