『ターン・ミー・ルース』(LP)/ダイアン・ハブカ I Like It Here/Eden Atwood Live In Tokyo + 1Eden Atwood

フランク・シナトラ Frank Sinatra SSJ Presents CD

sinatra society of japan

Frank Sinatra フランク・シナトラ

スタンダード・ヴォーカル、ジャズ・ヴォーカルのトップ・スター=フランク・ シナトラ。
シナトラ・ソサエティ・オブ・ジャパン(Sinatra Society of Japan)は、 1981年12月13日、
シナトラの67歳の誕生日の前日、 つまりアメリカ時間で当日に、 熱心なシナトラ・ファン4人によって設立されました。

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sinatra society of japan
TOPSinatra Society of Japan presentsLPリリース>『ターン・ミー・ルース』(LP)/ イーデン・アトウッド

『ターン・ミー・ルース』(LP)/
イーデン・アトウッド
Turn Me Loose + 1
Eden Atwood
\3800 (XQAM-4007) 原盤:SSJ

2009年3月/ロサンゼルス郊外

世界初LP化
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   5年ぶりとなる待望の新作は、オールド・スタンダードからボニー・レイットまで 100%心から共感できる歌のみを厳選しエモーショナルに歌い上げた、感動の一作。
 

 
A-1. Home/ホーム >>試聴
A-2. Don't Fence Me In/ドント・フェンス・ミー・イン>>試聴
A-3. I Got It Bad and That Ain't Good/アイ・ガット・イット・バッド・アンド・ザット・エイント・グッド
>>試聴
A-4. Ain't Gonna Let You Break My Heart Again/エイント・ゴナ・レット・ユー・ブレーク・マイ・ハート・アゲイン>>試聴
A-5. Miss Celie's Blues (Sister)/ミス・セリーズ・ブルース(シスター)>>試聴
A-6. True North (Bonus Track)/True North (Bonus Track)>>試聴
B-1. Ill Winds/イル・ウィンド>>試聴
B-2. Girl Talk/ガール・トーク>>試聴
B-3. Don't Get Around Much Anymore/ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモア>>試聴
B-4. The Best Is Yet to Come/ザ・ベスト・イズ・イェット・トゥ・カム>>試聴
B-5. I'll Close My Eyes/アイル・クローズ・マイ・アイズ>>試聴
B-6. Lazy River/レイジー・リヴァー>>試聴
 

 

才色兼備のイーデン・アトウッド

 世界的に美人ジャズ・ヴォーカリストといわれる女性シンガーは多いが、歌手としての真の実力を伴うひとは少ない。こう書くと実力とはなにかという解釈問題が浮上するが、この際言い切ってしまえば美しいという付加価値がなくとも立派に歌手として通用するということだろう。一般論としていえば、男女いずれも容姿に優れることは魅力のひとつだが、知性、品格、人間の風韻とは無関係であることと同じである。歌手の真価はあくまで歌の内容で量られるべきであり美醜は付加的な些事にすぎない。  

  さて、こう断定しておいて言うのもなんだがイーデン・アトウッドは紛れもない才色兼備型のシンガーである。女優やファッション・モデルの仕事もしてきたのだから美しいのは当然といえるかもしれないが、彼女はその美貌を武器に歌手を志したのではない。音楽家として完璧な基盤を構築したうえで歌手への道を進んだのである。プロとして歌い始めてからほぼ20年、当初は可憐な印象が先行したが、今や力強い堂々たる中堅シンガーに成長した。これこそ旬というべきこの機をとらえSSJレーベルが録音したのが即ち当アルバム『ターン・ミー・ルース』(LP)。果してイーデン会心の一作となった。
 

スタジオでのイーデン・アトウッド

 ロサンジェルスの3月はすでに陽春である。我々のめざすスタジオはサンタ・モニカ・マウンテンズの北方に広がるサン・フェルナンド・バレイの一角、広々とした屋敷が立並ぶ瀟洒な住宅地メイオール・ストリートにあった。ここに集まったのがイーデンのほかにデイヴィッド・モーゲンロス(pf)、クリス・コランジェロ(b)、ジョー・ラバーベラ(dms)という面々。デイヴィッドはイーデンが最も信頼をおくピアニスト、アレンジャーで、ともにモンタナからやってきた。コランジェロとラバーベラは西海岸のみならず全米でも最も多忙なミュージシャンで、その腕前は数多いレコーディングや来日公演を通じてご存じの方も多い。こうした経験豊かな強豪をむこうにまわしてイーデンは歌に没頭する三日間を過ごした。録音中のイーデンは靴も脱ぎすて、両腕をしなやかに振りながら情感豊かな歌を創っていく。我々はその表現者としてのスケール大きさに彼女の進境を感じ、レコーディングの成功を確信したものである。

 

イーデンの生い立ち

 1969年1月11日、テネシー州メンフィス生まれ。父はハリー・ジェイムズ、スタン・ケントンなどの一流バンドに作・編曲を提供する音楽家だった。彼の影響で幼少の頃からクラシック・ピアノ、高校時代にはクラシック、ジャズ両分野のヴォーカル・トレーニングを積んでいる。5歳のとき両親が離婚したため母の故郷であるモンタナに移り住みモンタナ大学では演劇を専攻するが、19歳のとき父の死を機にシカゴのアメリカ音楽院に転校し8年間にわたってクラシック・ピアノを修得した。

  彼女はこの父ハブ・アトウッド(Hubbard MacDonald Atwood)を尊敬する気持ちが深く、またその影響を強く自覚しているのでここで簡単に触れておこう。彼は1950年代から活躍し、その作品はフランク・シナトラやナット・キング・コールなどによって歌われている。因みにシナトラが録音した「ノー・ワン・エヴァー・テルズ・ユー」(キャピトル・アルバム『ア・スウィンギン・アフェア』所収。1956年4月9日録音)を聴くと32小節形式だが濃厚なブルース感覚が漂っておりハロルド・アーレンの「ストーミー・ウェザー」などを連想させる。この感性が父から娘へと受け継がれた点が重要。ブルース形式であるとないとにかかわらず、彼女の声質や歌の端々にソウルフルな憂いが宿っているのはこの父親の影響であろう。  

  アメリカ音楽院在学中からシカゴでジャズを歌っていたが、卒業後は女優、モデルとして全米、ヨーロッパで活躍。傍らニューヨークのアルゴンキン・ホテル「オーク・ルーム」や「タヴァーン・オン・ザ・グリーン」「マイケルズ・パブ」などで歌い続け、自主制作した初アルバム『トゥデイ』がジャズ・ピアニスト、マリアン・マクパートランドの眼にとまり、彼女の推薦でコンコード・レーベルから再発売されるという幸運に恵まれた。再発時のタイトルはハブ・アトウッドの前述作品名で、死後に父娘の共同作業が実ったかたちである。好きな、あるいは影響を受けたシンガーはジミー・スコット、シャーリー・ホーン、サラ・ヴォーン、ビリー・ホリデイ、スティーヴィ・ワンダー、ダニー・ハサウェイ、リッキー・リー・ジョーンズなどで、この顔ぶれも父からのブルース遺伝子と勘案するに興味深いものがある。
 
 ところで過去のイーデンのアルバムをお聴きの方は、ハスキーがかった美声、よく伸びる高音の持ち主という印象をお持ちだろう。しかし2007年3月に彼女は声帯にできた腫瘍の除去手術を受けている。これによって彼女の声質が多少変わったことは事実だ。しかし術後、彼女は若年のころにはなかった強靭な声帯を獲得したのである。この試練を経てイーデンはハスキーの度合いを深めるとともに、強くしなやかな声によって表現の幅を飛躍的に拡げたのだ。人生経験にふさわしい歌が歌えるのもこの声の賜物。自らの力で禍福を転じたのだから、これもイーデンの三番目の天稟に数えられるだろう。

 

曲目について

 本作の狙いはイーデンの曲にたいする解釈と歌唱力を十二分にひきだす点にあって、選曲もその目的に適うものが選ばれた。有名無名の曲が混在するのはこのためで、お聴きになるにつれアルバム・デザインやタイトルにこめられた意味も領解されるはずである。

Side1
1.
ホーム
 チャーリー・スモールズ(詞・曲)がライマン・フランク・ボームの『オズの魔法使い』を原作とするブロードウェイ・ミュージカル『ウィズ』(1975)のために書いた。胸一杯の望郷の想いを歌い上げるイーデンのスケールの大きさが聴きどころ。

2. ドント・フェンス・ミー・イン
 都会調が持ち味のコール・ポーターにしては珍しいウェスタン調。イーデンの住むモンタナの日曜詩人、ボブ・フレッチャーの題名を気にいったポーターが歌詞の一部も使って書きあげた。アルバム・タイトルもこの歌詞の一行から。束縛は嫌い「放っておいて」といった歌意だが、背景にはなにやら仔細もありそうでイーデンのそれは自棄。

3. アイ・ガット・イット・バッド・アンド・ザット・エイント・グッド
 デューク・エリントン(曲)とポール・フランシス・ウェブスター(詞)がミュージカル『ジャンプ・フォー・ジョイ』(1941)のために書いた。ヴァースから丁寧に歌いこむイーデンの解釈の深さとパワーが際立つ。デイヴィッドのピアノの粒立ち。

4. エイント・ゴナ・レット・ユー・ブレーク・マイ・ハート・アゲイン
 シンガー・ソングライターのデイヴィッド・ラズリーが作ってボニー・レイットがヒットさせた1989年の曲。恋のすれ違い。省みる女心には口惜しさもありそうな。イーデンはそのいぢらしげな気持ちを切々と歌って間然するところなし。

5. ミス・セリーズ・ブルース(シスター)
 スティーヴン・スピルバーグ監督の映画『カラーパープル』(1985)に使われた曲でクインシー・ジョーンズ、ロッド・テンパートン、ライオネル・リッチーの共作。ブルースとあるが32小節AABA形式。しかし父譲りのブルース・フィーリングは全開である。

6. トゥルー・ノース
 イーデンが作詞し曲はデイヴィッドと共作した。「True North」は真北という意味だがこの場合は「あなたひとすじ」。イーデン版“愛の賛歌”で恋の苦楽は覚悟のうえとばかりに歌いあげる。伴奏陣の快演に録音中のイーデンもご機嫌になって曰く“A great groove!”

Side2
1.
イル・ウィンド
 テッド・ケーラー(詞)、ハロルド・アーレン(曲)がレビュー『コットン・クラブ・パレード』のために書いた1934年の曲。直訳では「不吉な風はあっちへお行き」だが意訳すれば男運を嘆いてやけっぱちといったところか。イーデンの迫力に圧倒される。

2. ガール・トーク
 ボビー・トゥループ(作詞)、ニール・ヘフティ(作曲)が映画『ハーロー』(1965)のために書いた。タイトルは「女のお喋り」だが、男には理解できない井戸端会議に近いニュアンス。女同士のお喋りは止まないけれど「あとであなたの話もするのよ」とのろける。イーデンは愛嬌たっぷりの婀娜っぽさ。

3. ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモア
 デューク・エリントンの曲(1940)にボブ・ラッセルが詞(1942)をつけた。スウィンギーに歌うシンガーが多いが、イーデンは意表をついてこれ以上あり得ないほどのスローで歌いきる。実力のなせる業。

4. ザ・ベスト・イズ・イエット・トゥ・カム
 キャロリン・リーとサイ・コールマンの共作でフランク・シナトラが名唱を残したが、創唱はトニー・ベネット。意訳すれば「これからがお楽しみ」。複雑な構成の曲だが、まず弛まずに聴かせるデイヴィッドのアレンジが巧緻。イーデンはこれにのって強くしなやかな喉を聴かせる。

5. アイル・クローズ・マイ・アイズ
 イギリスのビリー・リードが作曲しあとからバディ・ケイが詞をつけた。クリント・イーストウッド監督・主演の映画『マディソン郡の橋』(1995)でダイナ・ワシントンの歌が印象的に使われた。「心の眼にはあなたしか見えない」一途の恋心。無伴奏で歌うヴァースからコーラスに入る呼吸にハッとさせられる。イーデンのラヴ・バラードの極致。

6. レイジー・リヴァー
 ホーギー・カーマイケルがシドニー・アロディンと共作した1931年の曲。原曲は時代物のコーニーな味だがデイヴィッドのモダンなアレンジはそれを払拭する。4ビートになってからのイーデンの豊かなスウィング感が素晴らしい。爽快なるエンディング曲だ。

 





2009年6月2日 小針俊郎
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